思い出。喪失。

れる=心のアルバムにしまうこと。

カウンセリングをしている時に、

こんな風にご相談者さんに問いかけることがあります。

「思い出の整理をしていきますか?」と。

すると、こう答えてくれる方がいらっしゃいます。

「思い出の整理は必要なんですかね…。」と。

 

後々気づいたことですが、

「思い出の整理をする」=「忘れる」

というようにきっと伝わってしまったのだと思いました。

 

私の伝え方が悪く申し訳ないなって思うと共に、

「忘れる」ということを誤解している方が少なからずいらっしゃると感じることがあります。

 

忘れるということは、思い出せないことではありません。

大切な人を亡くしたのですから、

忘れる=思い出せなくなることであれば、

忘れたくなんてやっぱりありません。

それは当然のことです。

 

そして、私たちは思い出せなくなることはありません。

大切であればあるほど、

思い出せなくなることはないのです。

どんなに年数が経ったとしても、

天国に行った大切な人との思い出は、

いつだって思い出せるのです。

れるとは、思い出の引き出しにしまうこと。

忘れるということは、常に頭の中にあるのではなくて、

いつでも思い出そうとすれば、思い出せるように

心のアルバムにしまうことです。

 

子供のころにつけた古い傷を見ると、

その時の記憶をいつだって思い出せますよね。

「あ~そういえば、あの時あんなことをして転んで傷つけたな。

あの時は痛かったな~。」といったように、

意識には常になかったけれど、無意識の記憶にとしては、

存在している。

だから、思い出そうとすればいつだって思い出せる。

そんな状態が忘れるということなのです。

 

忘れてもいいのです。
(思い出にしまってもいいのです。)

それは、忘れ去ること(思い出せないこと)とは違うのですから。

 

常に頭の中にあの人がいなくても、

それは忘れ去ったわけではないのです。

 

思い出せる限り、私たちは忘れ去ってはいないのです。

常に考えてないと、

常に覚えていないとと思って、

少しでも意識の中にいないと、

酷い人だと、

忘れてしまった…。

と自分を責めてしまう時があるかもしれません。

 

でも、それは忘れていないのです。

いつだって思い出せるのですから。

 

思い出の整理とは、

忘れ去ることではありません。

 

そもそも、忘れ去ってもらうことなど到底できません。

私たちは大切な人との思い出を忘れ去ることは二度とできません。

 

だからこそ、その思い出を整理、つまり、心のアルバムにしまうことが大切なのです。

勿論、私たちがしまいたいと思った時に。

 

思い出をしまうまでには、少し時間がかかりますが、

もし、あなたが今、心の中でそのような思いが湧いてきていたとしたら、

どうぞご相談にいらしてください。

 

大切な思い出を心のアルバムにしまえるように、少しでもお力添えになれれば幸いです。

  著者プロフィール

野川 仁
野川 仁
元引きこもりの心理カウンセラー。
現在は、都内のクリニックでカウンセリングをする傍ら、講師として、毎週(土)横浜で講義を行っている。