喪失の5段階に関する誤解喪失の5段階説というキューブラー・ロスという方が提唱した、死を如何に人が乗り越えていくのかというプロセスを5つの段階にした理論があります。

それによると、否認➡怒り➡取引➡抑うつ➡受容へと進んでいくとされています。

これを読んだり、学んだりした方が自分は今は「抑うつ」の段階である、といったように自分の状態を理解する上では、とても役に立ちますし、この先にこういったプロセスで乗り越えていけると考えれることができれば、希望にもなります。

しかし、ここで一つ注意しないといけないことがあります。

これは、キューブラー・ロスさん自身が書いていますが、この5段階説はあくまで指針であり、人によっては、抑うつから始まる方もいますし、怒りから始まり、否認へと進む場合もあるなど、順序通りにいかない場合もありますし、違うプロセスを辿る方もいるということです。

こういったことを知らないと、例えば否認の段階は終わったはずなのに、なぜ怒りがで来ないんだ。

といったように感じたり、怒りも抑うつも経験した。

だけれど、受容できない自分はおかしいんだ。

といったように、かえって自分を苦しめてしまうことにもなりかねません。

 

また、怒りが出たと思ったら、否認を繰り返すといったこともありますから、本当にあくまで一つの指針として見て頂いて、今のあなた自身にとって役立つものだけをピックアップして頂けたら一番いいのではないかと個人的には感じています。

そして最後にもう一つだけ、注意点があります。

この注意点は、喪失を抱える方を支える方にです。

この5段階は、繰り返しますがあくまで指針でありますので、身近な人が悲嘆を抱える時に、この人は今○○の段階だ、だから次はこの段階に行くのだ。

といったように、単純化して考えないようにしてください。

そして、否認してばかりではなく怒りを出さないと…。

といったようにも考えないようにしてくださいね。

人が死という大きなテーマを乗り越えていく過程は、千差万別です。

 

理論を人に当てはめずに、今生きているあなたの目の前にいる生身の大切な人を見て接していきたいですね。

  著者プロフィール

野川 仁
野川 仁
元引きこもりの心理カウンセラー。
現在は、都内のクリニックでカウンセリングをする傍ら、講師として、毎週(土)横浜で講義を行っている。