喪失による怒り

喪失を体験した際に、「怒り」が沸き上がってくることがあります。

先に去ってしまった故人への怒りや、
周りへの怒り、
自分への怒りが沸き上がってくるのです。

その怒りは、例えばこんなような怒りかもしれません。

■相手への怒り
・なぜもっと早く話してくれなかったの!
・いつもあなたは自分勝手だった!
・なぜあんなことを私にしたんだ!
・何で私だけ取り残して先に逝くの!

■自分への怒り
・なぜ変化に気づいてあげられなかったんだ…。
・あの時私が誘いを断らなかったら…。
・なんであの時怒鳴ってしまったんだろう…。
・もっと愛をもって接すればよかったのに、なんで自分は…。
・愛してるってもっといくらでも言えたはずなのに!

■第3者への怒り
・医者がもっと適切な処置をしてくれていれば今頃!
・何であんなに真面目な人が死んで、あの人は生きているの!
・あの時ちゃんと検診してくれていれば!
・あの人が飲みになんて誘わなければ、今頃の主人は…。
・会社がもっと休みをくれていれば…。
・もっと安全確認を徹底していれば…。

といったように様々な怒りが沸き上がってくることがあるのです。

怒りは、エネルギーです。

この怒りの感情とは、何かを取り戻したいときに沸き上がるエネルギーであり、
自分や周りを守る時に沸き上がるエネルギーです。

ただ、そうはいっても怒りが沸き上がってくると、「怒ってもしょうがない…。」と考えがちですし、
怒りはあまりよくないものと捉えがちですので、多くの人は怒りを我慢する傾向にあります。

もちろん、頭で納得することができれば、問題ないのですが…、
そうはいかないことも多く、怒りのエネルギーが体に溜まってしまうことも多いのです。

すると、次のようなことが起こることがあります。

怒りを我慢すると、体に症状が出る。

怒りを我慢しようと、頭の中で「しょうがない…。しょうがない…。相手にも事情が…。」と、
頭の中でいくら考えても、「いや、でも…!」と心の中の怒りが抑えきれないことがあります。

そういう時は、怒りのエネルギーを体の中から外へ出すということが大切です。

体の中から出さないと、お腹が痛くなってきたり、頭痛がしたりと、
身体症状として現れることもありますし、憂鬱感として現れることもあるからです。

そして、その状態が長く続くというのは、とっても辛いものです。

怒りは不健全なものではない。

怒りは、先程ご説明した通り悪いものではありません。

何か大切なものを取り戻りしたい時や、自分や周りを守るときに怒る気持ちであり、
喪失という避けられない、起きてしまったどうしょうもない出来事に対して、
その気持ちを、心が何とか解消しようとして湧く気持ちなのです。

怒りは、健全ではないと判断されがちですが、そんなことは全くないのです。

もちろん、日常生活において、あからさまに怒りを出してしまうと、
例えば喧嘩になってしまったり、相手を傷つけたり、暴力になったりと、
適切でない場合は多くあります。

ただ、大切な人を亡くしたという、どうしようもなく受け入れられない体験によって、
怒りというエネルギーが沸き上がるのは、むしろ自然なのです。

怒りは、発散することで解消する。

そしてこの怒りが湧いてきたということは、
前進してきたという一つの証でもあります。

なぜなら怒りの背景には、喪失に関する様々な気持ちが隠れていて、
怒りを感じて、怒りを出していくと、その怒りに隠れていた
悲しみ、孤独、寂しさ、などの痛みが出てくることがあるからです。

従って、怒りが湧いてきた時に大切なのは、その怒りを感じて、怒りを出すことです。

ただ、日常生活において怒りを相手に出すことは、
関係をただ崩してしまったり、お互いに傷つけあってしまうことがあります。

その為、誰かに当たるのではなく、一人で怒りを解消する試みが大切です。

例えば、
一人部屋でふとんをかぶり思いっきり叫んでみたり、
怒りを感じる相手の事を心に思い浮かべながら、
タオルの端を持って、枕や布団にその怒りを力の限りぶつけてみる。
紙に自分の気持ちを思いのままに書きなぐってみて、丸めて捨てたり、
スポーツが好きな方は、とにかくがむしゃらに走ったり、
体を動かすことで、その体の中に溜まった怒りというエネルギーを体の外に出す試みをしてください。

この怒りを出すという「行動」を通して、人の怒りは解消していきます、

それは感情というのは、思考、つまり頭で考えて解消する比率は2割程度と言われており、
残りの8割は行動によって解消していくしかないのです。

 

ただ、怒りを感じるにも、怒りを解消するにも、それぞれの方の時期がありますから、
「怒りを解消しなくてはいけない!」のではなくて、「解消したい。」という気持ちが表れたら取り組んでみて下さいね。

そして、怒りを解消していく途中でもしかしたら悲しみに出会うかもしれません。
それは、怒りの奥には多くの場合悲しみがあるからです。

「なんで先に逝ってしまったんだ…。」
「なんで…。あんなにやりたいことがまだあったじゃないか…。」

と、深い悲しみに出会うことがあるかもしれませんが、自然な気持ちですのでその悲しみを丁寧に感じてあげて下さい。

失ってしまった取り戻す事ができない大切な人。
失ってしまった愛する人との繋がりや愛。

その悲しみの底には、そういった大切な気持ちがあります。
時間をかけて悲しみや寂しさにひたり故人を悼んであげてください。

もう泣く事が出来ないあの人の分まで、どうか泣いてあげて下さい。

喪失の気持ちを理解する為に。

ショック状態・悲しみ

 喪失を体験した直後は、ショック状態となり心が不安定になり、
悲しみ、急に涙が出たり、何も感じなくなったり、フラッシュバックが起きたりと、様々な状態が起きます。詳しくはこちら

否認

喪失という大きな体験は、信じがたく受け入れがたいものです。そして、そのショックの大きさから受け入れる事が出来ないことがあります。
この状態が一般的に「否認」と呼ばれています。詳しくはこちら

抑うつ

いくら頑張っても、悲しんでも、怒っても、帰ってこないんだと現実に直面し、受け入れ始めた時、その辛さから抑うつ状態になる事があります。
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