人は自分の悲しみに耐えられない。

は他人の悲しみに耐えられない

私たちは、大切な人を亡くした時に、
身近な方からこんな言葉を掛けられることがあります。

「いつまでもそんなに悲しんでないで。」

「もう何年も泣いていても仕方がないじゃない。前を向いて。」と。

こういった言葉を掛けてくれる方々は、
悪気があるわけではないのですが、そうやって言葉を掛けられると、
いつまでも悲しんでいてはダメなんだなと、
そのように感じることがあります。

すると、無理やりにでも顔を上げないとと思い、
心が疲れているのにも関わらずに前を見ようとし、
結局できなかったり、悲しにみ蓋をしてしまったりと、
あまり上手くいかないことが多いものです。

そもそも、なぜ人はあなたに対してそんな言葉を言うのでしょうか?

本当に心配しているからなのでしょうか?

私は、そういう言葉を掛ける方の多くは、
あなたが悲しんでいる姿を見たくなくて、
そして、見ていられないからそういった声を掛けるのだと思っています。

喜びや楽しみといった一般的にポジティブと言われている気持ちに対して私たちは、
あんまり嫌な感情を頂くことはなく、心地よさを感じます。
(勿論、苦しんでいる時は人のそいった気持ちに触れることは嫌な体験となります。)

一方で、悲しみや怒りなどの一般的にネガティブと言われている気持ちに対して私たちは、
不快感を覚えることが多くあります。

特に悲しみに対しては、
ずっと横で泣いている人の傍にいたり、
深い悲しみの底にいる方に対して、
私たちは無力さを感じますし、
隣りにいたり、傍にいるとその悲しみが伝わって来て、
いてもたってもいられなくなったり、
自分も悲しくなったりするのです。

その為、悲しみを抱える方の傍にいると、
そういった自分の気持ちに耐えられずに、
「いつまでも悲しんでいないで。」
と言葉にしてしまうことがあるのです。

でも、この言葉は人を傷つける事があります。

それは、自分が抱える悲しみを感じてはいけないのだと、
もう十分なのだと否定されたように感じてしまうからです。

悲しみに暮れる時間は何年かけてもいいのです。

いつまで悲しんでいるのかを本人に決めていいのは、
目の前の人なんじゃないかなって思います。

顔を上げるタイミングも、
悲しみから立ち直るその時間も。

だからこそ、丁寧に見守って関わっていきたいものですね。

  著者プロフィール

野川 仁
野川 仁
元引きこもりの心理カウンセラー。
現在は、都内のクリニックでカウンセリングをする傍ら、講師として、毎週(土)横浜で講義を行っている。